2016/05/28

フォントの高さの修復方法

TeXで使われているフォントをWindowsで使おうとすると、
行の高さ(line-space)が壊れていることがあるので修復してみた。

TeXで使われているフォントは、
https://www.ctan.org/
で入手できるものが多い。

TeXでデフォルトで使われるフォントはComputer Modern Unicode
https://www.ctan.org/pkg/cm-unicode
で、このフォントの高さは正常なのでそのままWindowsのフォントとして使用できる。

しかし、すべての文字についてデフォルトがComputer Modernだというわけではない。
数式で使用されるギリシャ文字にはLatin Modern Math (LM Math)
http://www.gust.org.pl/projects/e-foundry/lm-math
https://www.ctan.org/tex-archive/fonts/lm-math
が用いられている。

残念ながら、この記事を書く時点では、このLatin Modern Mathの
フォントファイルに記録されている行の高さ情報は正しくなく、
上下におよそ3行分ずつ余分な空白が入ってしまう。
WordやLibreOfficeで使おうとするととても使いにくい。


そこで、FontForge
https://fontforge.github.io/en-US/
を使ってフォントの高さの修復を行う。

なお、FontForgeで検索すると日本語で書かれている
http://fontforge.github.io/ja/
がヒットするが、そこからたどりつく
https://sourceforge.net/projects/fontforge/files/fontforge-executables/
にある
FontForgeSetup_2012-07-31_Windows.exe
は使わないほうがよい。古く、日本語が正常に表示されない。

一方、Cygwin版
fontforge_cygwin-20090914.tar.bz2
なら表示が崩れることはない。しかし、fontforgeのGUI表示用にCygwinのXが必要になるので
CygwinのXをインストールしなければならず、また、FontForge自体が古い。


さて、FontForgeの準備ができたら、起動して修正したいフォントを読み込み、
次の手順にしたがってフォントを修正する。

  1. エレメント→フォント情報と進み、設定画面を表示させる。Cygwin版ならElement→Font Infoと進む。 
  2. 左側の一覧から「一般情報(General)」を選択する。 
  3. 高さ(Ascent)と深さ(Descent)の値を覚える。
  4. 左側の一覧から「OS/2」を選択し、「メトリック(Metrics)」タブを選択する。
  5. 「オフセットを指定(Is Offset)」のチェックボックスをすべてはずす。
  6. Win AscentとWin Descentの値をそれぞれ3.で覚えた値に設定する。
  7. 組版上の高さ(Typo Ascent)とhheaテーブルでの高さ(HHead Ascent)を3.で覚えた高さの値に設定する。
  8. 組版上の深さ(Typo Descent)とhheaテーブルでの深さ(HHead Descent)を3.で覚えた深さの値を負にした値に設定する。例えば、深さが194であれば-194を設定する。
  9. OKボタンを押す。
  10. ファイル(File)→フォントを出力(Generate Fonts)と進む。
  11. 出力形式を指定する。今、修正しようとしているLatin Modern MathはOpenTypeフォントなので、OpenTypeを選択する。
  12. 生成ボタンを押す(フォントによっては途中で警告表示がでるかもしれない)。
  13. 生成したフォントファイルのプレビュー(エクスプローラで右クリック→プレビュー)を表示すると、無駄な行間スペースがなくなっていることが確認できる(はず)。

以上で行の高さを修正したフォントが得られるので後はシステムにインストールするだけである。

フォントの高さの設定に関しては、以下を参考にした。
http://fontforge.github.io/faq.html#linespace
https://fontforge.github.io/ja/fontinfo.html#TTF-Metrics
http://designwithfontforge.com/en-US/Line_Spacing.html

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