Intel CPUの64bit環境下で、Dockerを利用してRaspberry Piの32bit OS環境を動かしてみます。
Dockerの準備
Debian11環境で作業します。 Dockerがインストールされていなければ、例えば https://docs.docker.com/engine/install/debian/ を参考にDockerをインストールします。
イメージの準備
最初に、https://downloads.raspberrypi.org/から必要なRaspberry Pi OSのroot.tar.xzをダウンロードします。 Raspberry Pi OS Lite (32-bit)のバージョンbullseyeであれば、 https://downloads.raspberrypi.org/raspios_lite_armhf/archive/2022-04-07-11:57/ にあります。
Dockerのイメージへの変換
次に、ダウンロードしたroot.tar.xzをDockerのイメージへと変換します。例えば、
$ docker image import ./root.tar.xz pi11-32bit:2022-04-07とします。インポートできたかは、
$ docker images REPOSITORY TAG IMAGE ID CREATED SIZE pi11-32bit 2022-04-07 d2b599f3a584 23 seconds ago 1.16GBのようにして確認できます。 この時点では、まだ実行できません。
$ docker run -it pi11-32bit:2022-04-07 bash exec /usr/bin/bash: exec format error(以下、方法2を実施し、その後、リブートした後に方法1を実行しましたが、もしかすると方法2の影響が残っている可能性があります)
方法1
パッケージqemu-user-staticをホストPCにインストールするだけです。 インストールすると、
$ docker run -it --rm pi11-32bit:2022-04-07 uname -m armv7lのようにエラーが起きずに実行できるようになります。
方法2
$ docker run --rm --privileged multiarch/qemu-user-static --reset -p yesを実行します。イメージがダウンロードされて、その後、実行されます。 実行が完了すると、ホストPC側に/proc/sys/fs/binfmt_misc/qemu-*が作成され、
$ docker run -it pi11-32bit:2022-04-07 bash -c ls bin boot dev etc home lib lost+found media mnt opt proc root run sbin srv sys tmp usr varのように動くようになります。 なお、ホストPCをリブートすると、ホストPCで
$ ls /proc/sys/fs/binfmt_misc/ python3.9 register statusとなり、qemu-で始まるファイルがなくなります。また、
$ docker run -it pi11-32bit:2022-04-07 bash exec /usr/bin/bash: exec format errorとなり、実行できない状態になります。
方法2の仕組み
multiarch/qemu-user-staticコンテナ内で、ホストのbinfmt_miscとqemu-user-staticを設定することで動作させているようです。 まず、 https://github.com/multiarch/qemu-user-static/blob/master/containers/latest/register.sh を見ると
mount binfmt_misc -t binfmt_misc /proc/sys/fs/binfmt_miscと書かれており、カーネルモジュール binfmt_misc をマウントしています(lsmodを実行するとbinfmt_miscが存在することが確認できます)。 少なくともここでホストのルート権限が必要になり、--previlegedをつけることになります。 また、register.shの最後に呼び出されているファイルはおそらく https://github.com/qemu/qemu/blob/master/scripts/qemu-binfmt-conf.sh で、この中のqemu_register_interpreter()にて
qemu_generate_register > /proc/sys/fs/binfmt_misc/registerという記述があることから、最終的にbinfmt_miscに対して自動的にqemuを動作させるよう登録をしています。
参考
https://www.koatech.info/blog/raspbian-on-docker/
https://qiita.com/autch/items/c8c9cdc7b8e5821e81a4
https://github.com/multiarch/qemu-user-static
https://github.com/qemu/qemu/blob/master/scripts/qemu-binfmt-conf.sh
https://wiki.bit-hive.com/north/pg/binfmt_misc
https://qiita.com/yuyakato/items/5dd06fb179922206044d
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