2017年7月30日日曜日

音の周波数と場所を表すニューロンは共有されている

海馬のニューロンの一部が物理的空間内の位置を表現していることは既に知られている。
今回、ラットを使った[2]の実験により、音の周波数を表現しているニューロンが、空間を表すニューロンと重複していることが分かった。つまり、空間的な位置を覚えないといけないタスクをこなす時と、音の周波数を覚えないといけないタスクをこなす時とで、共通のニューロンのネットワークが利用されているということである(解説記事は[1])。

実験では、ラットはジョイスティックを操作して音を鳴らし、ジョイスティックを放したときに音が特定の周波数の範囲に入っていたら水が報酬として与えられる。なお、ジョイスティックを押した時間に応じてニューロンが反応している可能性を排除するために、押している間の周波数の変化速度を変動させて実験している。


空間と音とで共有できているなら、他の何かとも共有している可能性はある。そうなると、そもそも海馬内のこのネットワークは何を符号化しているのだろう…。

-- 参考文献 --
[1] https://www.nature.com/nature/journal/v543/n7647/full/543631a.html (doi:10.1038/543631a)
[2] https://www.nature.com/nature/journal/v543/n7647/full/nature21692.html (doi:10.1038/nature21692)

2017年7月29日土曜日

DCGAN で数字画像を生成

色々なところでGenerative Adversarial Network (GAN) が使われているということなので、GANの初心者向け解説である
https://elix-tech.github.io/ja/2017/02/06/gan.html
を参考にして数字画像生成を試してみました。

試したのは、GANの中でもCNNを使うDeep Convolutional GAN (DCGAN) です。
同解説の中でコードを含めて解説されているのでほぼそのまま使いました。
学習に用いるデータはおなじみのMNISTです。
ただし、Keras 2.0.6 を用いたため、少し修正が必要になりました。

修正後のコードは

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from keras.models import Sequential
from keras.layers import Dense, Activation, Reshape
from keras.layers.normalization import BatchNormalization
from keras.layers.convolutional import UpSampling2D, Conv2D

# For discriminator
from keras.layers.advanced_activations import LeakyReLU
from keras.layers import Flatten, Dropout

def generator_model():
    model = Sequential()
    model.add(Dense(1024, input_dim=100))
    model.add(BatchNormalization())
    model.add(Activation('relu'))
    model.add(Dense(128*7*7))
    model.add(BatchNormalization())
    model.add(Activation('relu'))
    model.add(Reshape((128, 7, 7), input_shape=(128*7*7,)))
    model.add(UpSampling2D((2, 2), data_format='channels_first'))
    model.add(Conv2D(64, (5, 5), padding='same', data_format='channels_first'))
    model.add(BatchNormalization())
    model.add(Activation('relu'))
    model.add(UpSampling2D((2, 2), data_format='channels_first'))
    model.add(Conv2D(1, (5, 5), padding='same', data_format='channels_first'))
    model.add(Activation('tanh'))
    print(model.summary())
    return model

def discriminator_model():
    model = Sequential()
    model.add(Conv2D(64, (5, 5), strides=(2, 2), padding='same', input_shape=(1, 28, 28), 
                     data_format='channels_first'))
    model.add(LeakyReLU(0.2))
    model.add(Conv2D(128, (5, 5), strides=(2, 2), data_format='channels_first'))
    model.add(LeakyReLU(0.2))
    model.add(Flatten())
    model.add(Dense(256))
    model.add(LeakyReLU(0.2))
    model.add(Dropout(0.5))
    model.add(Dense(1))
    model.add(Activation('sigmoid'))
    print(model.summary())
    return model
となります。これ以外の部分のコードは、同解説を参照ください。

5エポックまで学習を進めてみたところ、うまく文字が生成できる場合と、全く文字を生成できない場合がありました。文字が生成できる場合がSuccess{1,2,3}で、出来ない場合がFailです。

Epoch=0, Batch=0

Epoch=0, Batch=500

Epoch=0, Batch=1000

Epoch=0, Batch=1500

Epoch=1, Batch=0

Epoch=2, Batch=0

Epoch=3, Batch=0

Epoch=4, Batch=0

Epoch=5, Batch=0




Lossは次の図のようになりました。バッチサイズは32で、1エポックで実行されるバッチの総数は1875です。バッチごとにプロットしています。




初期値に大きく依存しているようで、全く同じように実行しても成功したり失敗したりします。安定して画像が生成できるようにするためにはもう少し工夫が必要なようです。

また、こうやって単純に画像を生成すると、生成した画像にラベルが付かないので、MNISTの学習データを増やす目的には使えません。ラベルと画像をペアで生成できればいいのですが、この点についてももう少し工夫が必要そうです。

脳の過成長と自閉症スペクトラム障害に関連が

生後6ヶ月から12ヶ月の間に起きる大脳皮質の表面積の過拡張が
自閉症スペクトラム障害(ASD)の発生と関連していることが報告された[1]。

遺伝的なリスクが高く、生後24ヶ月でASDと判定された乳児(HR-ASD)が15名、
遺伝的なリスクが高いが生後24ヶ月でASDと判定されなかった乳児(HR-neg)が91名、
遺伝的なリスクが低く、生後24ヶ月でASDと判定されなかった乳児(LR)が42名、
のデータで評価が行われた。

脳の表面積の計測にはMRIが用いられ、6ヶ月目、12ヶ月目、24ヶ月目の3回計測された。
測定結果のグラフ([1]のFigure 1)を見ると、結構ばらつきが大きいように見えるが、
6ヶ月目から12ヶ月目までの表面積の成長率がHR-negに対してHR-ASDのほうがP=0.04で
大きく、LRに対してはP=0.01で大きいという結果が得られたとのこと。

また、6ヶ月目と12ヶ月目のMRIから得られる表面積からディープラーニングを使って
24ヶ月目にASDと判定されるかどうかを予測したところ、8割くらい当てられたそうだ。

ここで使われたディープラーニングの手法はオートエンコーダで、
[2]で示されている方法を用いている。

医療分野の研究にもディープラーニングが用いられるようになってきていることが分かる。


-- 参考文献 --
[1] http://www.nature.com/nature/journal/v542/n7641/full/nature21369.html (doi:10.1038/nature21369)
[2] http://science.sciencemag.org/content/313/5786/504 (DOI: 10.1126/science.1127647)

2017年7月28日金曜日

Proxima b まで探査機を送る計画

地球サイズの惑星 Proxima b まで探査機を送る計画があるそうだ[1]。
YouTubeの動画は[2]にある。
レーザーで光速の20%まで探査機を加速することで21.1年で到達する計算とのこと
(減速なしで最初の加速時間は無視するという仮定で計算)。


それはともかく、同記事の図を見るとオールトの雲は太陽からおおよそ1光年の距離にある。
一方、Proxima bは4.22光年の距離にある。Proxima bが回っている地球にとっての太陽は
Proxima Centauriだが、これにも同様のオールトの雲があり、距離も同じだと仮定すると、
太陽から見て、3.22光年あたりに分布していることになる。
そうするとオールトの雲同士の距離は2.22光年しか離れていないということになる。

[太陽] --(1光年)--[オールトの雲]------(2.22光年)------[オールトの雲]--(1光年)--[P.C.]

実際には遠いのだが、このように考えるとお隣の恒星が意外と近く感じるのではないだろうか。



-- 参考文献 --
[1] https://www.nature.com/news/what-it-would-take-to-reach-the-stars-1.21402 (doi:10.1038/542020a)
[2] https://www.youtube.com/watch?v=zVySM1oofmY

天文学も GAN を活用

天文学でもGenerative Adversarial Networks (GANs)を利用して
重力レンズで歪んだ銀河を生成し、それらを検出するソフトウェアの
性能を向上させようとしているそうだ[1]。

しかしながら、GANで生成した画像はいい感じのときもあれば、
奇妙な画像を生成することもあるわけで、芸術ならともかく
基礎科学の分野で使うなら十分に注意深く使う必要があるだろう。


-- 参考文献 --
[1] https://www.nature.com/news/astronomers-explore-uses-for-ai-generated-images-1.21398 (doi:10.1038/542016a)

2017年7月23日日曜日

良くくっつく接着パッチ

乾燥してても、湿っていても、水中でも、油中でも良くくっつく接着パッチができたとのこと[1, 2, 3]。

タコの吸盤っぽい形にすることで実現できた模様。
何度も繰り返し使え、吸盤からの汚染もない。

安く簡単に手に入るようになる日は来るのだろうか。
普通の吸盤は時間とともに剥がれてしまうので、
日用品に使われるようになれば、とても便利になりそうだ。


-- 参考文献 --
[1] http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/86698
[2] http://www.nature.com/nature/journal/v546/n7658/full/546358a.html (doi:10.1038/546358a)
[3] http://www.nature.com/nature/journal/v546/n7658/full/nature22382.html (doi:10.1038/nature22382)

暗黒物質と暗黒エネルギー

暗黒物質と暗黒エネルギーについての2016年のまとめ記事。
http://www.nature.com/nature/outlook/dark-universe/index.html

4つの大きな疑問点が
http://www.nature.com/nature/journal/v537/n7622_supp/full/537S206a.html (doi:10.1038/537S206a)
に挙げられています。

1. 暗黒物質の粒子は存在するの?
2. 暗黒物質はどんなものとも相互作用するの?
3. 宇宙定数で暗黒エネルギーを説明できるの?
4. 最終的に宇宙に何が起きるの?

10年以上前からある疑問で、まだ解決していないということですね。
詳細はリンク先を参照。

人工ブラックホールでホーキング輻射

(2016年の記事より)

光の代わりに音波を使ってホーキング輻射を検証するための人工ブラックホールをつくり、
ホーキング輻射を観測したとのこと[1, 2]。
人工的に本物のブラックホールが作られたわけではない。


-- 参考文献 --
[1] https://www.nature.com/news/artificial-black-hole-creates-its-own-version-of-hawking-radiation-1.20430 (doi:10.1038/536258a)
[2] http://www.nature.com/news/one-man-band-the-solo-physicist-who-models-black-holes-in-sound-1.20437 (doi:10.1038/nature.2016.20437)

脳から情報を読み取り自分の足を動かす

(2016年の記事より)

脊髄損傷により片足が麻痺したアカゲザルの足を、損傷部分をスキップする経路を作ることで
自由に歩けるようにできたとのこと[1, 2]。

おおまかな方法は次の通り
1. 脳に96チャネルのマイクロアレイを埋め込んで、そこから得られた信号を適切に変換する。
2. 変換後の信号をパルス生成器にワイヤレスで転送する。
3. 転送された信号に基づいて電気信号をパルス生成器が作る。
4. 腰の辺りの脊髄に埋め込んだ電極により電気信号を神経に伝達する。
5. 足が動く。

-- 参考文献 --
[1] http://www.nature.com/nature/journal/v539/n7628/full/539177a.html (doi:10.1038/539177a)
[2] http://www.nature.com/nature/journal/v539/n7628/abs/nature20118.html (doi:10.1038/nature20118)

地球サイズの惑星が近くの恒星で発見

(2016年の記事より)

地球から1.3パーセクの距離にあるProxima Centauriの周りを回っている惑星が発見された[1, 2, 3, 4]。
Proxima Centauri b (またはProxima b)と名づけられたその惑星の質量は地球の1.3倍とのこと。公転周期は11.2日。
ただし、Proxima Centauriは強力なフレアを放出している。
さらに、Proxima Centauri bが受けるX線の量も地球の400倍と大きい。
このため、大気が存在するかは今のところ分かっていない。


-- 参考文献 --
[1] http://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/77976
[2] https://www.nature.com/news/earth-sized-planet-around-nearby-star-is-astronomy-dream-come-true-1.20445
[3] https://www.nature.com/nature/journal/v536/n7617/full/536408a.html
[4] https://www.nature.com/nature/journal/v536/n7617/full/nature19106.html (doi:10.1038/nature19106)